トヨタホームの家は夏暑く冬寒い?
「トヨタホームのような鉄骨の家は、高気密な木造住宅にくらべて夏暑く冬寒い」——家を検討していると、よくこう言われます。はたして本当なのか。まずはそう言われる根拠を正確に整理し、そのうえで、実際に鉄骨の家に数年住んでいる我が家のリアルな実感を紹介します。
はじめに前提を共有しておきます。我が家は愛知県(省エネ地域区分は6地域相当)にある、延床約34坪・2階建ての鉄骨ラーメンユニット住宅(トヨタホーム)です。断熱は高断熱仕様、窓は複層(ペア)ガラス。そして全館空調(スマート・エアーズ)は採用しておらず、各部屋にエアコンという、ごく一般的な構成です。この条件での体感、という前提で読んでください。
~この記事の内容~
「鉄骨は夏暑い」と言われる理由

まず、なぜ鉄骨造は「暑い・寒い」と言われるのか。理由はシンプルで、鉄が熱をとても伝えやすい素材だからです。
- 鉄は木の約500倍も熱を伝えやすいとされます。熱を通しやすい=外の暑さ・寒さが室内に伝わりやすい、ということです。
- 構造材の鉄骨が「熱の通り道」になるヒートブリッジ(熱橋)が起きやすく、断熱の弱点になりがちです。
- 鉄は温度で伸び縮みするため、木造の高気密住宅ほどの気密は取りにくい、とも言われます。
ただし、これは「構造材そのものの性質」の話です。実際の暑さ・寒さを最終的に左右するのは、鉄骨か木かよりも「断熱材のグレード」と「窓の性能」、そして熱橋対策です。近年の鉄骨系ハウスメーカーは、この弱点を断熱仕様でしっかり補っています。では、実際に住むとどう感じるのか——ここからが本題です。
実際に住んでみて|夏の暑さはどうか

正直な実感から言うと、2階はやはり熱がこもりやすいです。エアコンを切ったまま日中を過ごすと、真夏には室温が38℃近くに達したこともありました。ただ、これは「鉄骨だから」というより、壁裏や屋根裏の断熱材が、いったん入った熱を内にこもらせているような感覚もあります(断熱は外の熱を防ぐ一方で、こもった熱も逃がしにくい面があります)。
一方で、エアコンは驚くほどよく効きます。スイッチを入れて10分もすれば、2階でも十分に涼しくなる。この「効きの速さ」に、それなりの気密性能を実感します。木造だった実家は、夏場の2階はエアコンをかけてもなかなか効かなかった記憶があるので、なおさら違いを感じます(家の断熱が優秀なのか、エアコン自体が進化したのかは分かりませんが)。
運用としては、設定温度28℃にしておけば、冷えすぎず、夏でも快適に眠れます。そしてもう一つ良かったのが、湿度が上がりすぎないこと。エアコンの「湿度戻り」のようなジメッとした不快感がなく、カラッと過ごせます。結論として、夏は何の問題もなく快適に住めています。「鉄骨だから暑くて無理」ということは、まったくありませんでした。
「鉄骨は冬寒い」と言われる理由

冬に寒いと言われるのも、理屈は夏と同じです。前述のとおり鉄は熱を伝えやすいので、対策が不十分だと室内の暖かさが外へ逃げやすく、外の冷気も伝わりやすい。加えて、窓辺で冷やされた空気が下に流れ落ちる「コールドドラフト」で、足元や床が冷えやすいのも冬の住宅に共通する現象です。ここでも効いてくるのは、鉄骨か木かよりも断熱材と窓の性能、というのは夏と同じです。
実際に住んでみて|冬の寒さはどうか

我が家は比較的温暖な地域(愛知)ということもあり、昼間、日差しが出ていれば暖房なしでも過ごせる日が多いです。ただし、朝晩はさすがに暖房が必須。ここは正直な実感です。
気になる点を挙げると、まず足元の冷え。とくに床が冷たく感じるので、冷え性の方はスリッパなしだと厳しいかもしれません。さらに我が家はホール階段(吹き抜け的に上下がつながる構造)なので、暖かい空気がどんどん2階へ上がってしまい、1階が寒くなりがちです。
もうひとつ、24時間換気について。我が家は熱交換型(ピュア24セントラル)で「熱を回収する」とうたわれていますが、正直、冬に入ってくる空気は冷たく感じ、止めたくなるほどです(もちろん、結露やシックハウス防止のため止めてはいけません)。熱交換型でも回収率は100%ではないので、外気が冷える日は給気がひんやりするのは、ある程度は仕方のないところです。加えて冬は家全体が意外と乾燥します。総じて、快適性は夏より冬のほうが劣る、というのが我が家の結論です。
冬の意外な相性|石油ストーブがよかった
そんな冬に、住んでみて発見したのが石油ストーブとの相性の良さです。我が家は玄関が比較的広めなので、玄関に石油ストーブを置いて、朝晩に使うようにしています。これがとてもいい。
玄関ホールから階段を通って暖かい空気が家中に回っていくので、家全体がかなり暖かくなります。前の項で「暖気が上に行ってしまう」と書きましたが、これを逆手に取った形です。使っているのはトヨトミのレインボーストーブで、灯油は月20Lほど(3,000円弱)。家計への負担も軽く済んでいます。
さらにうれしい副産物が、乾燥対策です。石油ストーブは燃焼するときに水蒸気を出すので、暖まると同時に部屋がほどよく潤います。先ほど「冬は家全体が乾燥する」と書きましたが、この乾燥の悩みが、石油ストーブでかなり和らぎました。加湿器いらずで一石二鳥です(ただし、出しすぎは結露の一因にもなるので、換気とのバランスは大切です)。
※安全のための注意:玄関で使うような開放型の石油ストーブは、燃焼によって一酸化炭素や水蒸気(湿気)を出します。とくに気密の高い住宅では、酸欠・一酸化炭素中毒・結露のリスクがあり、住宅会社によっては使用を認めていない場合もあります。使うなら24時間換気は必ず動かしたまま・こまめに換気し・就寝中や外出中は使わないこと、そしてメーカーの注意書きと自宅の仕様を確認したうえで、自己責任でお願いします。我が家の場合は、24時間換気に加え玄関の人の出入りもあってか、積極的に窓を開けなくても空気がこもる感じはありません(実家で使っていた頃は、換気しないと二酸化炭素で頭がぼーっとすることがありました)。ただし、これは各家庭の環境によるので、CO警報器の設置もあわせておすすめします。
総評|夏は快適、冬は「工夫」で十分いける
数年住んだ結論として、「トヨタホームの鉄骨だから夏暑く冬寒くて住めない」ということは、まったくありません。確かに鉄は熱を伝えやすく、無対策なら外気の影響を受けやすいのは事実です。ですが、高断熱仕様と窓の性能、そして暮らしの工夫でカバーできます。
- 夏:2階は熱がこもりやすいが、エアコンがよく効く(気密の実感)。湿度も上がりすぎず快適。ほぼ不満なし。
- 冬:夏より快適性は落ちる。足元の冷え・1階の寒さ・給気の冷たさ・乾燥が気になるが、暖房+足元の工夫、そして玄関の石油ストーブ(安全に配慮のうえ)でかなり快適になる。
正直に言えば、快適さは夏>冬。それでも、「鉄骨は寒い・暑い」という一般論を過度に恐れる必要はない、というのが我が家の実感です。大事なのは構造の種類そのものより、断熱・窓の性能をしっかり選び、住んでからは自分の家に合った工夫を重ねること。光熱費の実際は入居後の電気代の実績、寒さ・結露まわりは結露・カビ対策もあわせてどうぞ。
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