この記事でわかること

  • 災害に強い家を建てるための3つのステップ
  • 土地選びからハザードマップ・地盤まで具体的な確認方法
  • 耐震・耐水の家づくりで押さえるべきポイント
  • 停電・断水に備えた設備の考え方

まず、結論

災害に強い家を建てるには、やることが3つあります。

①被災しにくい場所を選ぶ ②被害が小さくなる家を建てる ③ライフラインが止まっても困らない備えをする――この順番が大切です。

2024年8月に南海トラフ地震の臨時情報が初めて発表されました。「まさかこんなことが現実に」と思いましたし、自分が家を建てたときのことを思い返して、土地選びの重要性を改めて実感した出来事でした。あの報道があったから、防災を「なんとなく大事」ではなく「具体的に何をすればいいか」で考えるようになりました。
この記事では、その視点から、災害に強い家づくりの考え方を整理します。


① 被災する確率の低い場所を選ぶ

どれだけ強い家を建てても、そもそも被災リスクが高い場所に建てると意味が薄れます。まず土地選びの段階で、リスクをできるだけ下げることが先決です。

ハザードマップは必ず自分の目で確認する

国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」では、洪水・土砂・高潮・津波など災害ごとのリスクを地図上で確認できます。不動産屋から「この辺は安全ですよ」と言われても、自分でハザードマップを開いて確認することは必須です。

私が候補にしていたエリアの一つは、ハザードマップを見たら浸水深2〜3mのゾーンにかかっていて、すぐ候補から外しました。営業担当の「昔から何も起きていないですよ」という言葉より、地図の方を信じて正解でした。

ハザードマップの一例(国土交通省 ハザードマップポータルサイトより)

地盤の強さも土地購入前にチェックする

地盤が弱いと、いくら建物を頑丈にしても地震に負けます。海や川の近く、かつて田んぼや池だった場所は特に要注意です。

「住まいの安心研究所」などのサービスを使うと、その土地の地盤データや昔の航空写真が確認できます。土地を絞り込む段階で一度調べておくと、後から「地盤改良費が想定外にかかった」という事態を防げます。費用の目安が事前にわかるだけでも、資金計画が立てやすくなります。


② 被害が起きにくい家を建てる

土地が決まったら、次は家の仕様で被害を最小限に抑えることを考えます。立地の弱さをある程度カバーすることも、設計の工夫次第で可能です。

地盤改良はケチらない

地盤が弱いと判定が出たら、地盤改良工事が必要です。費用は工法によって異なりますが、数十万〜百万円台になることもあります。

「高いな」と感じる気持ちはわかりますが、ここはやるべきです。地震で基礎ごとやられたら、修繕費の方が桁違いです。地盤改良は保険と同じ感覚で捉えた方がいいと思っています。

地盤改良工事の一例

耐震等級3を標準にする

耐震性の指標は「耐震等級」で、1〜3の3段階があります。等級3は消防署・警察署など、震災後も機能し続けることが求められる建物と同等の強さです。

「等級1でも法律上は問題ない」と言われることがありますが、個人的には等級3が最低ラインだと考えています。大地震の後も補修なく住み続けられることを目標にするなら、等級3は必須です。地震保険の割引対象にもなるため、長い目で見ればコスト差も縮まります。

間取りと工法の選択も耐震性に直結する

工法は木造・鉄骨造・RC造の順で耐震性が上がりやすいとされていますが、実際には設計と施工の質の方が影響は大きいです。どの工法でも、信頼できる業者に任せることが一番です。

間取りの観点では、柱と耐力壁をバランスよく配置すること、大きな窓や吹き抜けを増やしすぎないことが基本です。「吹き抜けは開放感があっていい」という気持ちはわかりますが、耐力壁が減る分、耐震性とのトレードオフがあることは理解しておく必要があります。

水害リスクがある場所は盛り土で高さを稼ぐ

ハザードマップで浸水リスクがあるエリアなら、盛り土で地面を高くする方法が有効です。ハザードマップには浸水深さの想定値が記載されているので、「どのくらい上げれば安心か」が具体的に判断できます。

家具の転倒対策は見落としがち

地震によるけがの多くは、家具の転倒が原因です。食器棚やタンスの下敷きになるケースは重症になりやすく、他人事ではありません。

大型家具を固定するのはもちろん、設計の段階で「そもそも大型家具が不要なくらい収納を作り込む」という発想が根本的な解決策です。壁面収納を造作で作っておくと、地震時の転倒リスクがなくなります。


③ 災害時に困らない家にする

大きな災害が起きると、停電・断水がセットでついてきます。数時間ならまだしも、長期化すると生活が成り立たなくなります。特に小さな子供や高齢者がいる家庭は、ライフラインが止まったときのダメージが大きいです。

新築時に仕込んでおくと、いざというときに助かる設備があります。

蓄電池+太陽光発電のセットが最強

停電対策として最も効果的なのが、太陽光発電と蓄電池の組み合わせです。日中は発電して蓄電池に貯め、夜間や曇り日はそこから使う。停電が続いても電気の心配が大幅に減ります。

初期費用はかかりますが、電気代の節約・売電収入・停電対策を一度に解決できるので、費用対効果は高いと感じています。

エコキュートは非常用の水タンクになる

オール電化住宅でよく採用されるエコキュートは、タンクに数百リットルの水を常に保有しています。断水時にはそのまま生活用水とざて使える点は、あまり知られていません。

「貯水タンクを別途置く」よりずっとスマートで、普段から使い続けながら非常用備蓄になるのが魅力です。

電気自動車・ハイブリッド車を非常電源にする

V2H(Vehicle to Home)対応の電気自動車やハイブリッド車は、停電時に車から家へ電力を供給できます。大容量のバッテリーを持つ電気自動車であれば、数日分の電力をまかなえるケースもあります。

車の買い替えを検討しているなら、この機能を持つ車種を選ぶのは合理的な選択です。設備投資というより、普段使いの延長線上に防災がある形になります。


まとめ

災害に強い家づくりのポイントは、場所選び・建て方・備えの3つに分かれます。

  • ハザードマップと地盤調査で、リスクの少ない土地を選ぶ
  • 耐震等級3・地盤改良・耐力壁の確保で、被害が出にくい家を建てる
  • 蓄電池・エコキュート・V2Hで、ライフラインが止まっても生活できる備えをする

どれか一つだけやれば安心、というものではなく、3つが揃って初めて「災害に強い家」と言えます。お金と優先順位の問題はありますが、土地選びだけは妥協しない方がいいというのが正直な感想です。建てた後に土地は変えられません。

家づくりを進めている方の参考になれば幸いです。