「うちは閑静な住宅街だから大丈夫」——そう思っている方ほど、防犯対策が後回しになりがちです。ただ、統計を見ると一戸建て住宅は侵入窃盗の主な標的になっており、対策なしでは他人事とは言えない状況です。

この記事では最新の被害データを踏まえながら、「侵入者に選ばれにくい家」を作るための考え方と具体的な対策をご紹介します。

近年の空き巣被害の傾向

警察庁のデータによると、2024年の侵入窃盗の認知件数は43,036件(前年比増)。2002年のピーク時(338,294件)からは大幅に減っていますが、それでも1日あたり約44件のペースで発生しています。

手口の内訳は以下のとおりです。

最も多いのは「鍵をかけていなかった」という無締りです。かつて主流だったピッキングは対策が進んだ影響で8.5%まで減少しており、最近の侵入は「鍵がかかっていない隙」や「ガラスを割る」手口が中心に移ってきています。

また、全侵入窃盗のうち空き巣(不在時の侵入)が約6割を占める一方、在宅中の侵入(忍込み・居空き)も約3割あります。「留守のときだけ気をつければいい」というわけではない点も、念頭に置いておくとよいでしょう。

被害場所の内訳では一戸建て住宅が約29%と最多で、マンション・アパートを含む住宅全体への侵入は全体の約4割を占めています。(出典:警察庁)

防犯の基本的な考え方

「絶対に狙われない家」を作ることは難しいです。ただ、侵入者はリスクと手間が高い家を避ける傾向があります。「この家はやめておこう」と思わせることが、防犯の基本的な考え方です。

以下の3つの視点で対策を整理すると、取り組みやすくなります。

外から見て「やめておこう」と思わせる

侵入者は事前に下見をすることが多いとされています。「監視されている」「隠れる場所がない」と感じさせる外観が、選ばれにくさにつながります。

  • 防犯カメラ:録画の有無に関わらず、カメラの存在自体が「見られている」という意識を与えます。ダミーカメラでも一定の抑止効果はありますが、実際の録画ができる機種のほうが万が一のときに役立ちます。2026年版・防犯カメラの人気機種まとめも参考にしてください。
  • 人感センサーライト:夜間に急に点灯することで、侵入者に「気づかれた」と感じさせます。玄関・駐車場・庭の境界・勝手口など、死角になりやすい場所への設置が効果的です。
  • 低木・オープン外構:高い塀や生垣は侵入者の隠れ場所になります。外から家の周囲が見通せる設計にしておくことで、「作業しにくい家」という印象につながります。
  • 面格子・シャッター(特に1階の窓):窓に格子があると、ガラスを破っても侵入できない物理的なバリアになります。1階窓へのシャッター設置も有効です。

入ろうとして「面倒だ」と思わせる

警察庁の調査では、侵入に5分以上かかると約7割の侵入者が犯行を諦めるとされています。「すぐに入れない家」にしておくことが、実質的な防犯につながります。

  • 玄関はディンプルキー+補助錠(2ロック):鍵穴の複雑なディンプルキーはピッキングに時間がかかります。さらに2箇所に鍵をかけることで、解錠にかかる時間を増やすことができます。
  • 窓は防犯ガラスまたは補助錠を追加:クレセント錠(窓の回転式ロック)だけの窓は、ガラスを少し割って手を差し込めば解錠できてしまいます。補助錠を追加するだけでも抵抗力が変わります。1窓あたり1,000〜3,000円程度で後付け可能です。
  • セキュリティステッカーの貼付:ホームセキュリティ会社のステッカーは「警備されている」という心理的プレッシャーになります。実際に契約していない場合でも一定の効果があるとされていますが、実際の契約と組み合わせるのがより確実です。

生活感で「留守じゃない」と思わせる

空き巣の約6割は「不在を確認してから侵入する」とされています。「この家、人がいそうだ」と思わせるだけで、回避されやすくなります。

  • スマート照明で夜間に自動点灯:外出中でも時間設定で照明をつけておくことで、在宅しているように見せることができます。
  • 宅配ボックスを設置する:不在票がポストに溜まると「留守が多い家」と判断される可能性があります。宅配ボックスがあれば不在票自体が減ります。
  • 郵便物を溜めない:ポストがいっぱいになっているのは「長期不在」のサインです。旅行などで数日空ける場合は、郵便局への配達一時停止の手続きも活用できます。
  • 昼間はカーテンを閉めっぱなしにしない:昼間ずっとカーテンが閉まっている家は「留守かもしれない」と思われやすいです。タイマー設定で開け閉めできる電動カーテンを使う方法もあります。

逆に、狙われやすい家の特徴

上記の対策の裏返しでもありますが、次のような特徴がある家は侵入者に「入りやすい」と判断されやすいとされています。自宅と照らし合わせてみてください。

  • 死角が多い:高い塀・生垣・大きな植栽があると、外から見えにくい隠れ場所ができてしまいます。
  • 古い鍵・ワンロック:特に築年数の経った住宅では、昔の錠前が使われたままのケースがあります。引越しや中古住宅購入の際は錠の交換を検討しましょう。
  • 窓が無防備(特に浴室・トイレ):浴室や洗面・トイレの小窓は見落とされがちですが、人が通れるサイズであれば侵入口になります。補助錠や面格子の設置を検討しましょう。
  • 夜でも真っ暗:帰宅が遅い・外出が多い家は、夜間に灯りがつかないことで留守を悟られやすくなります。センサーライトやタイマー照明で対策できます。
  • 新興住宅地で不在パターンがバレている:同じ時間帯に全員が外出している街は、下見をされると留守の時間帯が読まれやすくなります。近所との関係も、防犯の一要素です。

まとめ

防犯対策に「完璧」はありませんが、「選ばれにくい家」にすることは十分できます。侵入者が嫌がるのは「時間がかかる」「見られている」「誰かいるかもしれない」という状況です。この3点を意識して対策を組み合わせることが、現実的な防犯の考え方です。

費用のかかる設備をすべて一度に揃える必要はありません。補助錠の追加やセンサーライトの設置など、手軽なものから始めて、少しずつ強化していくのが続けやすい方法です。


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