室内干しスペース 作り方ガイド
共働き家庭や花粉症の家庭、梅雨の時期の対策として、洗濯物の室内干しはすっかり身近な存在になりました。最近の新築では、ホスクリーンなどの物干しユニットを新築時に取り付けておくケースが増えています。
参考までに、我が家ではランドリールームに川口技研のホスクリーンを4本設置しました。実際に使ってみて気づいた選び方のポイントと、計画段階で気をつけておきたいことをまとめます。
~この記事の内容~
室内干しのニーズは年々高まっています
そもそも、室内干しをする家庭はどのくらいあるのでしょうか。通販大手ベルメゾン(千趣会)が2024年に共働き世帯を対象に行った調査では、室内干しをしている家庭は72.1%にのぼり、そのうち約半数は「常に室内干し」と回答したそうです。
室内干しが選ばれる理由としては、おおむね次のようなものが挙げられています。
- 共働きで日中に洗濯物を取り込めない:内閣府の男女共同参画白書(令和4年版)によると、夫婦のいる世帯の約7割が共働きです。朝や夜に洗濯する家庭では、天気を気にせず干せる室内干しのほうが運用しやすくなります
- 花粉やPM2.5を持ち込みたくない:ウェザーニュースが2026年に行った調査では、花粉症の人のうち花粉シーズンに「絶対室内干し・乾燥機」と答えた人が約半数を占めたとのことです
- 天候に左右されたくない:梅雨やゲリラ豪雨など、急な雨で洗い直しになるリスクを避けられます
「天気が悪い日だけ仕方なく」という一時的な使い方から、「基本は室内干し」という常時利用へとニーズが変わってきているのが近年の傾向のようです。
だからこそ、室内干しスペースは新築時に用意しておきたい
毎日のように室内干しをするなら、「とりあえずカーテンレールや鴨居に掛ける」という間に合わせの干し方では不便ですし、レールの変形やカーテンへの湿気移りの原因にもなります。
新築時に物干しユニットを計画しておくと、次のような利点があります。
- 天井裏に下地や補強をあらかじめ入れられるので、好きな位置にしっかり取り付けられます
- 洗濯動線に合わせて場所を決められるため、「洗う→干す→しまう」の移動距離を短くできます
- 後付けに比べて、下地探しや補強工事の手間・費用がかかりません
主な室内物干しユニットには、次のような種類があります。
- ホスクリーン(川口技研):天井に取り付けた金具にポールを差し込んで使うタイプです。使わないときはポールを外せるのが特徴で、室内物干しの定番としてよく選ばれています
- ホシ姫サマ(パナソニック):竿ごと天井や壁に収納できる昇降式のユニットで、手動タイプと電動タイプがあります。使わないときに竿まで隠せるのが魅力ですが、その分価格は高めです
- 物干しワイヤー:壁から壁にワイヤーを張って使うタイプです。見た目はすっきりしますが、重いものを掛けるとワイヤーがたわみやすい点には注意が必要です
- 天井埋め込み・折りたたみアーム式:使わないときは天井や壁に収まるタイプで、来客時に生活感を出したくない場所に向いています
価格の目安として、ホスクリーンのスポット型は2本セットで実売8,000〜9,000円前後(1本あたり4,000〜5,000円程度)、ホシ姫サマは手動タイプで数万円、電動タイプになると8万〜10万円程度からとされています。コストと使い勝手のバランスから、まずはホスクリーンを軸に検討するのが現実的だと思います。
適当につくると思わぬ落とし穴も
「室内干しスペースを作ったのに使いにくい」という後悔は意外と多いものです。ありがちな落とし穴を挙げておきます。
- 本数・長さが足りない:家族の人数や洗濯頻度に対して物干しが足りず、結局リビングに干すことになるパターンです。参考までに、我が家は4本設置しましたが、シーツなどの大物を洗う日には「もう1本あればよかった」と感じる場面がたまにあります。少なめに見積もると後悔しやすいので、迷ったら多めに計画しておくのがおすすめです
- 高さが合わない:取り付け高さを設計段階で確認しておかないと、「頭にぶつかる」「ロングワンピースの裾が床に触れる」といった不便につながります。家族の身長と干す衣類の長さを考えて決めましょう
- 湿気がこもって生乾きに:換気や空気の流れを考えていない部屋に干すと、乾きが遅く生乾き臭の原因になります。湿気がこもると、壁紙や窓まわりの結露・カビにつながるおそれもあります
- コンセントがない:除湿機やサーキュレーターを使いたくても、近くにコンセントがなければ延長コードだらけになってしまいます
- 後付けで下地がない:建てた後に「やっぱり付けたい」となった場合、天井下地のない場所には取り付けられません。石膏ボードへの直付けは、洗濯物の重みで抜け落ちる危険があるため厳禁です。後付けする場合は、下地の位置を確認し、必要に応じて補強板を入れて施工しましょう
間取り・窓・コンセント、どう造ればいいか
場所は「洗濯動線」で決める
室内干しスペースの場所選びで一番大切なのは、洗濯機からの動線です。濡れた洗濯物は重いので、運ぶ距離が長いと毎日の負担になります。候補になりやすい場所と、それぞれの特徴は次のとおりです。
- ランドリールーム:洗う・干す・たたむを1か所で完結でき、最も理想的です。詳しくはランドリールームの作り方で解説しています
- 脱衣所:洗濯機からの動線が最短で、専用室を設けるほどの広さが取れない場合の現実的な選択肢です
- 2階ホール:日当たりと風通しを確保しやすく、家族の動線上にあるため取り込みも自然に行えます
- 書斎・予備室:来客時に干したままでも見えない場所として便利です
広さと本数の目安
必要な本数は家族構成や洗濯の頻度によりますが、目安としては次のように考えるとよさそうです。
- 2本:家族4人の1日分を干す最低限のライン
- 3〜4本:日々の洗濯に余裕を持たせつつ、シーツ干しにも対応できる本数
- 5本以上:花粉の時期にすべて室内干しにする家庭や、大物洗濯が多い家庭向け
なお、ホスクリーンのスポット型は1本あたりの耐荷重が約8kgとされています。脱水後の洗濯物は意外と重いので、詰め込みすぎず、本数に余裕を持たせるほうが安心です。
窓の位置は「直射日光」より「風の通り道」
室内干しで洗濯物を乾かすのに効くのは、日差しそのものよりも空気の動きです。窓を設ける場合は、干した洗濯物に風が通り抜けるような位置関係を意識すると乾きが早くなります。一方で、窓際にぴったり干すと冬場は結露の原因になりやすいので、窓から少し離した位置に物干しを計画するのがおすすめです。また、直射日光が強く当たる位置だと衣類の色あせにつながることもあるため、日当たりは必須条件ではないと考えてよいと思います。
コンセントは「多め・使う位置に」
室内干しスペースでは、除湿機・サーキュレーター・アイロンなど、電気を使う場面が想像以上に多くなります。電気配線・コンセント計画の記事でも触れていますが、室内干しスペースには複数のコンセントをぜひ検討してください。後から増設するのは手間も費用もかかります。除湿機を置く床付近と、アイロンがけをする作業台付近など、実際に使う位置を想定して配置するのがポイントです。
室内干しスペースにあると良いもの
物干しユニット本体に加えて、次のような設備・アイテムをそろえると快適さが大きく変わります。
- 換気扇(24時間換気):湿気を外に逃がす基本の設備です。室内干しスペースの湿気対策の土台になります
- 除湿機(衣類乾燥モード対応):梅雨時や冬場の乾きにくい時期の強い味方です。衣類乾燥モード付きのモデルだと、洗濯物に向けて効率よく除湿してくれます
- サーキュレーター:洗濯物の間に風を通すことで乾燥時間を短縮できます。除湿機との併用が効果的です
- 水に強い床材:濡れた洗濯物からの水滴や湿気を考えると、クッションフロアなど水に強い床材が安心です
- 作業カウンター:乾いた洗濯物をたたんだり、アイロンがけをしたりするスペースがあると、家事の流れが途切れません
まとめ|動線・本数・周辺設備の3点セットで計画する
室内干しスペースは、洗濯動線・必要本数・周辺設備(換気、コンセント、除湿機など)の3点セットで計画するのがおすすめです。どれか一つでも後回しにすると、使い始めてから不便を感じやすくなります。
共働きの増加や花粉対策で、室内干しは「あれば便利」から「日常の前提」になりつつあります。これから家を建てる方は、間取りの早い段階で室内干しスペースを組み込んでおくことをぜひ検討してみてください。
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