契約後の増額に気を付けて
契約後の増額問題
「なぜ契約後に金額が増えるのだろう」
「いったいどれくらいまで増額してしまうのだろう」
「金額は妥当なのだろうか…」
予想外の追加金額によって、場合によっては家づくりが暗礁に乗り上げてしまう、非常に重要な問題です。
そして、注文住宅を購入するほぼ全員が経験する問題でもあります
家づくりやその後に後悔しないためにも、まずはこの記事を読んで、しっかり対策を立てることから始めましょう
~この記事の内容~
まず、結論
なぜ注文住宅は契約後に、金額が上がるのか
それは、一言で言うと 最低限の仕様を前提にした金額で契約しているから です
これは単に 営業担当が契約を取りたいから というわけではなく、注文住宅というシステムが抱える構造的な問題なのです
注文住宅は1邸、1邸のオーダーメイド。自分だけの特別仕様にすればするほど、費用はかかりますし、また地盤改良工事など、避けられない追加費用もあります
しかしこれらは、詳細な設計や打ち合わせを重ねて初めて判明し、当初の段階ではまだ未確定です
だから大事なのは、増額をゼロにすることではなく、理由と相場を理解した上で、納得して判断できる状態をつくることです
そのための情報を1つずつお伝えしていきます
増額理由とその相場
増額する主な要因は 外構 、 設計変更 、 住宅設備のアップグレード 、 立地制約による追加 の4つです
それぞれが数百万円という金額でアップしますので、合計すると相当な金額になります
順に見ていきましょう
この記事で紹介する価格は目安です。実際の価格は詳細仕様や地域・時期などで変わります
外構
外構費用は、家づくりで最も予算オーバーしやすいポイントです
建物本体価格の10%が一般的な目安と言われますが、内容によっては不足するケースも多いのが実情です
ウッドデッキやカーポート、お洒落な玄関アプローチなど、外構にこだわりたいのであれば、それなりの予算を見ておいたほうが良いでしょう
1. 必須工事(150万円~)
- 整地・土工事:50万円~100万円以上
- 土間コンクリート(駐車場2台分):30万円〜80万円
- 機能門柱(ポスト・表札・インターホン):10万円〜30万円
- ブロック塀・フェンス(境界線):30万円〜100万円以上
- 玄関アプローチ:10万円~60万円
- 砕石(砂利)敷き:10万円〜30万円
2. 機能性アップ工事
- ウッドデッキ・タイルデッキ:20万円〜50万円
- カーポート(駐車場2台分):30万円〜100万円以上
- 物置:10万円~50万円
- 防犯カメラ設置:15万円~50万円
3. 見栄えアップ工事
- 造園・植栽:10万円~50万円
- 外構照明:10万円~20万円
- 人工芝:30万円~50万円
設計変更
建物外観や間取り変更による増額です
こちらも参考価格を下にまとめていますが、内容だけでなく、修正時期によっても価格が大きく変わることに注意が必要です
設計がある程度進んだ状態では、図面の書き直し、構造計算のやり直しが発生するため、予想以上に費用が高額になる場合もあります
1. 間取り変更
内容例
- 壁をずらす
- 部屋を広げる/狭める
- 収納を追加・位置変更
相場感
- 軽微(数十cm移動):5万〜15万円
- 間取りに影響(壁新設・撤去):10万〜30万円
- 構造に影響(耐力壁変更):30万〜50万円以上
2. コンセント・スイッチ・配線変更
内容例
- コンセント追加
- スイッチ位置変更
- LAN・TV配線追加
相場感
- コンセント1口追加:5,000円〜15,000円
- スイッチ移動:5,000円〜10,000円
- LAN配線追加:1万〜3万円
3. 天井高さ、勾配の変更
内容例
- 天井高を上げる
- 下がり天井追加
- 勾配天井に変更
相場感
- 下がり天井:5万〜15万円
- 天井高変更:10万〜30万円
- 勾配天井:20万〜50万円以上
4. 外壁・屋根形状に関わる変更
内容例
- 軒を深くする
- 外壁材変更
- 屋根形状変更
相場感
- 軒変更:10万〜30万円
- 外壁材変更:30万〜100万円以上
- 屋根形状変更:50万〜150万円以上
住宅設備のアップグレード
キッチンなどの設備は、当初の契約ではベースグレードの場合がほとんどです
そのため、注文住宅の設備のアップグレード(オプション)費用は、こだわり次第で際限がありません
また項目によっては、後からのやり直しが 容易なもの、非常に大変なもの などいろいろのため、優先順位を決めて検討することをお勧めします
1. キッチン
- 食洗機の深型変更・フロントオープン導入: 10万円〜20万円
- ガスコンロ(高機能グレード): 5万円〜20万円
- タッチレス水栓: 3万円〜10万円
- レンジフードの自動洗浄機能: 5万円〜10万円
- カップボード(背面収納)の追加: 15万円〜35万円
- キッチン天板を御影石やセラミックに変更: 20万円〜50万円以上
2. お風呂・洗面・トイレ
- 浴室乾燥機: 5万円〜10万円
- お風呂の断熱材・浴槽の保温強化: 5万円〜15万円
- タンクレストイレへの変更(手洗い場新設含む): 15万円〜30万円
3. 建物性能
- 床暖房(リビング12畳程度): 20万円〜50万円
- 全館空調システム: 150万円〜350万円
- 第一種換気システム: 20万円〜50万円
- 断熱性能のグレードアップ(樹脂サッシなど): 30万円〜100万円以上
- 電動シャッター(1窓あたり): 5万円〜8万円
4. 内装・造作
- 無垢材フローリングへの変更(1階のみ): 20万円〜50万円
- タイル施工(玄関・キッチンなど): 10万円〜50万円以上
- アイアン階段(スケルトン階段): 50万円〜100万円以上
- 収納や洗面台などの造作: 10万円〜50万円以上
- ドア仕様の変更(ハイドアなど): 5万円〜15万円
- 下がり天井(キッチン上など): 5万円〜15万円
- 小上がりの和室(3〜4.5畳程度): 15万円〜40万円
- 間接照明(1か所につき):数万円~20万円
立地の制約による追加
地盤改良工事や給排水工事は、土地の立地条件だけでなく、保証条件や地域差によって大きく金額が変わる項目です
そのため専門性も高く、正確な金額を予測するのは容易ではありませんが、付近の地形データなどから、金額がかかりそうか、そうでないかぐらいの検討をつけることは可能ですので、予め確認しておくのがよいでしょう
1.地盤改良工事
地盤改良工事は、地盤調査(スウェーデン式サウンディング試験など)を行い、正式な判定が出て初めて要否や工法が確定します
| 工法 | 費用相場(30坪) | 内容・特徴 |
| 不要 | 0円 | 地盤調査の結果、十分な強度がある場合。 |
| 表層改良工法 | 約30万〜60万円 | 軟弱地盤が浅い(2m以内)場合。土と固化材を混ぜて固めます。 |
| 柱状改良工法 | 約60万〜120万円 | 最も一般的。地中にコンクリートの柱を何本も作って支えます。 |
| 鋼管杭工法 | 約100万〜200万円 | 軟弱地盤が深い場合。鋼の杭を強固な地盤まで打ち込みます。 |
2.給排水工事
道路から敷地内へ水道を引き込む距離が想定より長かった場合、数十万円の追加工事が必要になることがあります
増額への備えと対策
注文住宅はその仕組み上、増額が発生しやすいのはすでに述べた通りです
では施主として、どのように備えて、どのような対策をとるべきなのか、住宅会社との「契約前」と「契約後」のそれぞれの状況で、提案したいと思います
契約前の場合
契約前では、価格決定における施主側の交渉力は強いです
そのため、「攻め」の交渉が可能です
この場合、できる限り交渉力が強い状態をキープすることこそ、優位な条件を引き出す秘訣になります
その具体的方法としてのおすすめは、最初に住宅会社と結ぶ契約は「設計契約」だけとすることです
通常は「工事請負契約」もセットで結ぶことが多いのですが、初めに工事請負契約は結ばず、設計が完了し、それに納得した上で改めて「工事請負契約」を結ぶのです
住宅会社によっては難しい場合もありますが、交渉の余地はあります
また複数の住宅会社で設計契約を結び、最終的に性能や価格に最も納得できる住宅会社を選ぶという手もいいと思います
設計契約の内容によっては、図面の著作権や他社流用が制限される場合があります
大事なことは 建築しない という選択肢を残しておくことです
その決定的なカードをできる限り持ち続けることで、住宅会社から有利な契約条件を引き出しやすくなります
(もちろん、本当に建築をやめる選択をするのもありです。一度立ち止まって考える、ことができる点でもこの方法はおすすめです)
契約後の場合
ここで言う「契約後」とは「工事請負契約」の契約後のことですが、その場合は価格交渉においては、施主はどうしても不利な立場になってしまいます
だからここからは より良い条件を引き出す のではなく、 適切な価格で契約する ことを重視した「守り」の立ち回りが重要です
そもそも、提示された金額が 適切な価格 なのかどうか、判断つかない人も多いと思います
そんな人は、前述した価格概算も参考にしてもらえると良いのですが、より意識してほしいのは、住宅会社との打ち合わせにおいて 記録をとること と 即決しないこと です
記録をとるのは持ち帰って正確に検討するためですが、後々の「言った、言わない」のトラブルを防ぐことにもなります
いまはChatGPTなどの生成AIツールがあるので、検索をすれば専門家の考え方や相場感に近い情報を事前に把握しやすくなりました
打ち合わせ内容を記録して持ち帰り、AIを活用して検討し、その上で結論をだす
限られた期間で進む詳細打ち合わせに対し、一見テンポが悪いと見えるかもですが、この手順を踏めば、もし仮に万が一でも不当な価格設定がされていても気づくことができますし、逆に知らないことによる不要な誤解も防げるはずです
また何より、住宅会社の設計士やデザイナーとより中身の濃い打ち合わせができるようになり、結果的にマイホームの満足度向上にも寄与すると私は思っています
まとめ
注文住宅は仕組み上、詳細な設計を進めないと最終的な金額が確定しないため、契約後に増額が発生することは珍しくありません
そのため、増額は「想定外のトラブル」ではなく、あらかじめ発生するものとして捉えた資金計画を立て、どの項目でどの程度の増額が見込まれるのか、事前に相場観を持っておくことが大切です
また住宅会社との契約においては、「設計契約」と「工事請負契約」を分けることで、より納得感のある条件で話を進めやすくなります
さらに打ち合わせの際は、即決せずに内容を記録して持ち帰り、生成AIなども活用しながら知識を整理した上で判断することで、増額についても納得した形で追加契約を結ぶことができ、結果としてマイホーム計画を、より有意義なものにしていくことができるはずです
契約後の増額は、注文住宅を建てる誰もが通る道ですが、理由と相場を理解した上で、納得した上で進むことができれば、不安ではなく楽しさに変わっていくと思います
この記事が、その一助になれていれば幸いです
あなたのこだわりが詰まった最高のマイホームが完成することを、心から応援しています!
最後までお読みいただき、ありがとうございました

